2016年04月04日

AKB48からシンデレラガールズへ繋がれたアイドルの夢 ―声優・佐藤亜美菜と橘ありすの話―

佐藤亜美菜はAKB48出身の声優である。AKBといえば二次元オタク界隈では押しも押されぬ嫌われ度No.1のアイドルグループであり、そんなグループのメンバーであった亜美菜が声優になると発表されたときには、当然ネット上では大いに叩かれたものである。ましてや、その亜美菜が『アイドルマスター シンデレラガールズ』の人気小学生アイドル「橘ありす」の声を担当するとなれば、大炎上が巻き起こったのも無理はない。2014年末にこの発表がなされたとき、少なからぬ数のデレマスPが嫌悪感を示し、2chやまとめブログでは苛烈な攻撃が亜美菜に向けられた。AKB出身という事実に加え、過去に暴走族関係者と思しき人物と飲み会で同席していたことがわかる写真の存在などが伝わると、バッシングの激しさは頂点に達し、「アイマス界一生の汚点」とか「キャラクター本体まで大嫌いになった」などといった言葉が数限りなく書き込まれた。当時の反応の一部は、以下のようなまとめサイトやそのコメント欄でも窺い知ることができるだろう。

『アイマス シンデレラガールズ』ボイス争奪総選挙結果発表、1位は橘ありすちゃん CVは元AKBで現在声優の佐藤亜美菜さん|やらおん!

【モバマス】ボイスオーディション1位記念ガチャよりSR橘ありす!アイロワ上位は大和亜季か片桐早苗か相原雪乃か

アイマス声優としての佐藤亜美菜の船出は、疑いの余地なくデレマス史上最悪の状況であった。

だが、それから約一年経って、亜美菜がライブイベント「シンデレラの舞踏会」でデレマスPたちの前に初めて姿をあらわしたとき、彼女に向けられる声はほぼ絶賛一色に変わっていた。亜美菜が橘ありすのキャラクターソングを歌ったステージは大評判となって、その曲名「in fact」は(「Hotel Moonside」と並んで)ツイッターのトレンドにもなったのである。そこには、亜美菜のパフォーマンスに対する絶賛のツイートが無数に並んでいた。

twitter02.png

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当時の反応は、「in fact」「ありす」「亜美菜」「みーなさん」などのキーワードで2015年11月末頃のツイートを検索するとよくわかるだろう。たとえば以下のようにである。
《「in fact ありす」を11/29〜30の範囲で検索》

声優の発表から「シンデレラの舞踏会」までの一年間に、いったい何があったのか。またそもそも、亜美菜はAKBのメンバーだったのにどうして声優になったのか。この記事ではそんなことをストーリー風に説明していきたい。要するにこの記事は、デレマスやAKBに関する筆者の知識に加えて、亜美菜がこれまでにラジオで語ってきた内容などを筆者なりに再構成した、亜美菜とありすの物語である。


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高校生のとき、佐藤亜美菜はアイドルに憧れる少女であった。大好きなアイドルに亜美菜が会える場所は二つ。一つは、学校帰りに友達と通い詰めたゲームセンターで、そこには1回50円でプレイできるアーケード版のアイドルマスターがあった。プロデューサーとしてアイドルを育てることができるアイマスは、当時の亜美菜にとって生き甲斐だったのだという。そしてもう一つは、秋葉原のAKB48劇場であった。はじめは熱心なファンの一人に過ぎなかったが、アイドルへの憧れが高じ、2007年には自分自身が4期生としてAKBのメンバーになった。

亜美菜はAKBの運営から期待されていたメンバーではなかったが、努力家として知られていた。たとえば、劇場公演への出演回数を増やすために、他のチームの曲もすべて振り付けを覚えるという大変な労力をかけて、欠員が出た際にアンダー(補充要員)として出演できるよう備えていたのである。同期や後輩がメディアで華々しく活躍する一方で、亜美菜にはメディアへの出演の機会はほとんど与えられなかったが、一部のファンは亜美菜のこうした地道な努力を見ていた。2009年に開催されたAKBの第一回総選挙において、亜美菜は大方の予想を裏切って8位という高順位を獲得する。

この結果を受けてのスピーチで、亜美菜は自分がAKBになりたかったということ、そしてAKBを踏み台にするのではなくAKBで役に立ちたいという思いを語った。一般にはあまり知られていないことだが、AKBには「夢を叶えるための通過点」というコンセプトがある。AKBのメンバーは各々が、AKBの卒業後に何をしたいかという夢(女優、歌手、タレント、モデル、声優など)を持っていて、それを叶えるためにAKBで仕事の経験を積む。つまりAKBは将来芸能界などで活躍する人材を育成するための学校であって、AKB自体がゴールなのではない。これはAKBの基本理念である。けれども、アイドルに憧れ続けてきた亜美菜にとっては、アイドルグループであるAKBで輝くことこそが終着点だったのだ。

しかし、AKBのコンセプトには沿わない目標を抱いていた亜美菜に対して、AKB運営の対応は冷淡なものであった。大人数のアイドルグループであるAKBには、いわゆる「推されメンバー」「干されメンバー」が存在する。「推され」とは、運営に期待されていて仕事を多く回して貰えるメンバーのことであり、「干され」とは、運営に冷遇されているメンバーのことである。どんなに劇場公演などで人気を得ても、運営に認めてもらえなければ良い仕事はもらうことはできず、AKB内での待遇も悪いままなのだ。結果から言えば、亜美菜はAKB史上でも屈指の「干され」であった。実際、8位を獲得した総選挙の結果として発売されたシングル「言い訳maybe」のPVで、亜美菜が単独で画面に映った時間は1秒にも満たなかった。この極端な扱いに象徴されるように、運営は亜美菜に対して実人気とはかけ離れた悪いポジションを与え続けた。アイドル市場で急拡大を続けるAKBのなかにあって、メディアへの露出度の低さは致命的であり、徐々に「推され」のメンバーとは知名度で大きな差をつけられていった。その後も亜美菜は総選挙では高い得票数を集め続け、その結果で決まるシングルでは3回の選抜入りを果たしたが、それ以外のシングルで選抜されることは遂に一度もなかった。AKBの歴史上でも、実際のファン人気に比してここまで極端に悪い扱いを受けたメンバーは数少ない。そのため亜美菜は、いつしかファンから「不遇のシンデレラ」という異名で呼ばれるようになっていた。トップアイドルへの道は、閉ざされつつあったのである。

だがその亜美菜にも、才能を存分に発揮できる場所があった。ラジオ番組「AKB48のオールナイトニッポン」がそれである。アイドルグループであるAKBにとってラジオの仕事は優先順位が低めであり、干されメンでも出演機会は比較的得やすかった。このラジオで特徴的なアニメ声や高いトークスキルを評価された亜美菜は徐々に出演頻度を上げていき、2011年にはラジオ日本で冠番組「佐藤亜美菜のこの世に小文字はいりません!」(よにこも)を得るに至る。AKBではいくら努力しても認められず上に進めないけれども、声の世界では違うかもしれない。このような状況を前にして、ただAKBになりたかったのだと語っていた亜美菜の決意にも、変化が生まれた。「声優」という夢を語るようになっていったのである。

2011年12月、そんな亜美菜の前にチャンスが降って湧いた。河森正治が総監督を務めるTVアニメ『AKB0048』において、主役9人の声優をAKB48グループのメンバー総勢200人からオーディションで選出することになったのである。運営の意向ではなく実力で勝負が決まるという、絶好の機会であった。亜美菜は「この仕事は私のための仕事。負ける気がしない」と宣言した通り、問題なく合格して一条友歌役に選出された。後に撮影された特典映像では、「声優選抜に自分が選ばれたのは奇跡だと思っているか?」という質問に対して、合格した9人のなかでただ一人「No」と答えている。亜美菜はその理由を、「ここでならなかったら何のために生きてきたのかわからない」と語った。『AKB0048』は2012年から2013年にかけて分割2クールで放送されたが、亜美菜は9人のなかでも高いポテンシャルを発揮しており、評判の演技であった。

そして2013年末、声優を目指すという理由でAKBからの卒業を発表。このときには、「絶対に卒業して失敗しません」と宣言し、退路を絶った。2014年6月には、声優事務所の大沢事務所に入所することが発表された。

この年の年末に、亜美菜の運命は大きく動くことになる。11月から12月にかけて、ソーシャルゲーム『アイドルマスター シンデレラガールズ』(通称:デレマス)において「ボイス争奪選挙」が開催され、橘ありすが1位を獲得したのである。この企画は、デレマスにおいてまだ声がついていないアイドルのなかから、ファンの投票で1位になった一人だけがボイスを獲得できるというものであった。そして12月25日、最終投票結果の発表と同時に、ありすの声を担当するのが亜美菜であることが告知された。この発表に対する当時のネット上での反応は、冒頭に記した通りである。亜美菜は後にこのときのことを、「人生でもっともつらいクリスマスだった」と語っている。

新人声優・佐藤亜美菜にとって、試練の一年間はここから始まった。AKB出身という経歴や過去のスキャンダルはどうすることもできない。だが問題は、結果発表と同時に公開されていたありすのサンプルボイスの評判が芳しくないことであった。一体何が低評価の原因だったのか。橘ありすというキャラクターは、デレマス世界に2012年からずっと生きており、声はついていなくともたくさんのファン、もといプロデューサーを集めてきた。亜美菜がこれまで関わってこなかった、ありすとありすPによる2年間の積み重ねが存在していたのである。亜美菜は、ありすPが抱いているありすのイメージを自分が共有できていないことが問題だと分析した。公式のキャラクター設定を越えた部分で、ありすはいったいどういうキャラクターとして理解されているのか。ありすの何が魅力で、どんなところが可愛いと思われているのか。亜美菜はpixivをはじめとして、ありすが出てくる二次創作や感想を徹底的に調べた。そしてその調査の上で、ありすの声の試行錯誤を重ねていった。

このあいだ、亜美菜を突き動かしていたのは「ありすには自分と同じ思いをさせたくない」という強い感情であった。亜美菜はAKBの総選挙で8位になったが、結局その順位に相応しい仕事を得ることはできなかった。ありすはボイス争奪選挙で1位を獲得したけれども、その後もうまくいくという保証はない。シンデレラガールズの世界もAKBと似た競争社会であって、人気のないキャラクターは露出も減っていく。亜美菜は、自分とありすを重ねる一方で、ありすには自分と同じようになってほしくない、成功してほしいと願うようになっていた。アイドルとしての自分ができなかったことを、ありすに託したのである。

亜美菜の努力は、ありすの出番が増えた2015年8月頃から急速に実を結びはじめる。ラジオドラマ「マジックアワー」、TVアニメ版デレマス、リズムゲーム「スターライトステージ」(デレステ)での演技はいずれも以前とは比べものにならないレベルに到達しており、その進歩ぶりに驚きの声があがった。デレステには、初期の声も一部収録されている(N橘ありすの自己紹介ボイス)ので、新しい声と聴き比べることができる。そしてありすの声に対する評価の劇的な変化は、ニコニコ大百科における「橘ありす」の記事のコメント欄などで確かめることができるだろう。さらに、11月にはありすのソロCDが発売され、表題曲は難しいバラード曲「in fact」であった。だが亜美菜は、ありすの背伸びも、賢さも、甘えも、生真面目さも、プロデューサーへの信頼も、寂しい気持ちも、素直になれないところも、まだ小学生なところも詰め込んだ、ありすだけの声を作り上げていた。声の演技が大きな変貌を遂げたことがはっきりするとともに、亜美菜のありすに対する愛の深さや真剣さが伝わったことで、亜美菜に対するネット上の非難の声は霧消していき、代わりに大きな声援が送られるようになった。こうして亜美菜は、ありすの声優として十二分に認められるようになったのである。

THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 036橘ありす - 歌、トーク:橘ありす(CV:佐藤亜美菜)
THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 036橘ありす - 歌、トーク:橘ありす(CV:佐藤亜美菜)

だが、亜美菜にとって最大の試練はまだ終わっていなかった。プロデューサーたちの前に姿を見せる初めての機会、「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 3rdLIVE シンデレラの舞踏会 - Power of Smile -」が11月末に控えていたのである。一年前のクリスマスに経験したバッシングの嵐は、亜美菜に簡単には拭いがたい恐怖心を植え付けていたため、絶対に失敗は許されないという感情に襲われていた。とりわけ、亜美菜はこのライブでソロ曲「in fact」を歌うことになっていた。誤魔化しの効かないバラード曲をたった一人で、観客17000人、ライブビューイングまで併せれば約4万人という大舞台で披露することになるのである。一人でこれほどの注目を浴びる経験はAKB時代にもまったくなかった。ライブ当日、亜美菜は極度の不安と緊張のために、一時はパニック状態に陥ったほどだった。

だがステージに立つときには、不思議と恐怖心は消えていた。一年間ありすのことを考え続けた亜美菜は、すぐ隣にいるありすのことを想像できるようになっていたのである。ありすと二人で立っていると思うと、この大舞台も怖いものではないと感じられたのだ。だが驚くべきことに、そのありすを目にしていたのは亜美菜だけではなかった。「in fact」を聞き終えた観客たちは口々に、「ありすがそこにいた」という不思議な感想を呟いたのである。バッシングという試練に立ち向かい、ありすを理解することに精力を注ぎ続けたことで、亜美菜はありすの声だけでなく表情や一挙一動に至るまでを再現できるようになっていたのだ。それはありすが亜美菜に憑依したかのようなステージであったと、多くの人が語っている。

終わってみれば、亜美菜とありすの「in fact」は、二日間にわたった「シンデレラの舞踏会」のなかでもトップクラスに注目と賛辞を集めたパフォーマンスであった。ライブのあと、ありすのCDは売上を大きく伸ばした。ありすはデレステ等でも出番を増やしつつあり、その魅力に嵌まる人の数も多くなってきている。

アイドルに憧れた少女の夢は道半ばで終わったが、もう一人の少女に受け継がれて、今なお生き続けているのである。


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今ではこんなスレも立てられるようになりました。
【モバマス】ありすの中の人が佐藤亜美菜さんでよかった - とりあえず速報

亜美菜さんは声優として、最近では『トリアージX』の梨田織葉役などメインキャラもこなしています。もう少し仕事が増えるといいのですが、どうかな!

もし本記事の内容に興味をもってくださった方がいたら、昨年の12月17日に放送されていた「よにこも」を聞いてもらえるといいんじゃないかと思います。「シンデレラの舞踏会」の感想戦で、なかなかにすごい回です。以下のリンクからPodcastを聞けます。
http://yokohama.jorf.co.jp/amina/2015/12/1217podcast-a93.html

そして4月4日から、文化放送の超!A&G+で「佐藤亜美菜のアミメン!」と題した新番組が始まるそうです。放送時間は毎週月曜日26:30〜27:00とのこと。良い番組になりますように。
http://www.agqr.jp/topics/archives/ag_11.php

【4/7 追記】
はてなダイアリーで、この記事に関係した文章を書いてくれた方がいました。
みーなさんとありすのお話。
デレマスPの視点で、こちらの記事では書けなかった経緯が説明されているので、併せて読んでいただけると良いかと思います。

【4/12 追記】
何件かご質問をいただいたので、本記事の情報源について補足しておきます。
本記事の前半部にあたるAKB時代の事柄については、大部分は「エケペディア」の本人の項目にも記述のあるような、AKBファンのあいだではそこそこ知られているエピソードで構成しています。後半部における亜美菜視点の事柄については、今年3月まで放送されていたラジオ「佐藤亜美菜のこの世に小文字はいりません!」(よにこも)の、2015年9月17日と12月17日の回を中心に、そのほか9月3日、10月29日、11月26日といった回の内容も参考にして書いています。また、筆者自身は確認できていないのですが、デレラジAの9月14日の回でも近い内容を語っていたようです。本記事の内容に興味をもっていただけた方は、以上のような回を聞いていただけるとまた楽しめるのではないかと思います。

posted by おりあそ at 11:13| Comment(30) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月30日

ラブライブ!ツイキャスのコメントへのレス

ツイキャスの録音はこのへん
http://twitcasting.tv/silver_pork/movie/256468192
http://twitcasting.tv/silver_pork/movie/256482422(09:30〜16:00 配信トラブルで中断)
http://twitcasting.tv/silver_pork/movie/256497967
http://twitcasting.tv/silver_pork/movie/256513675

すごいたくさんコメント貰えたので、ツイキャス中に反応できなかったコメントのなかからいくつかだけ拾って適当なレスで返しますね!



>おりあそさんがラ!劇場版庇うとこ見に来ました
実際そんな感じだったよね

>あれμ'sしか目立ってなかったから周りの子達が全然映えてなかったからそれでドーム大会に繋がるわけないんだよな
正論すぎて笑う

>「リーダーは星空凛が継ぎます、μ'sは終わりだけどな!!!」
ひどいよね

>結局あの池って何がしたかったのか未だに分からない
ぼくも

>orzasoじゃん
ちょっと笑った

>自分が気になったのは、PVシーンだとキャラが「汗をかかない」点
言われてみるとたしかに。重要な指摘っぽい

>まぁ振付の退化は実際に声優に躍らせることを考慮してのこともあったかもしれない
>いや実際数が増えれば増えるほど覚えるとこから負担になっていくから
これはなるほど感ある。

>ラブマジアンバラ系列とか全くないよね
僕はラブマジでラブライブ!に惹きつけられた人間なのでこれめっちゃ思ってた

>もうキャラが無になったから描けなくなったんですよ
身も蓋も無い……

>二十何話やった上で映画までやってキャラが徐々に消えていくの悲しすぎない?
かなC

>1期のかっこいい海未に思い入れがあったのに劇場版ではひたすらかっこ悪かったですね
かなC

>9人だけで話を完結させるなら9人を別の人間として描かなきゃいけないし、同じ思想の集団として描くなら外部の存在が必要
これに尽きる。

>次枠やるならコンテニューコイン残り4つ入れますよ 自動延長されるんですが、どうですか
ありがとうございました!

>実際留学の下り唐突過ぎでは?
まぁそうなんだよね……

>映画叩きの話じゃなくなったら一気にコメントが減りましたね…
それな

>劇場版でこうして欲しかったというなら蠅はそもそもアニメ一期でぼらららのMVを作ってるシーンをやって欲しかった
アニメ化以前のシングル5曲が出来る過程をやってほしかったっていうのはあるんですよね

>5話と8話って両方穂乃果関わらないんだよな………
これ重要な点だと思っている。2期は穂乃果が絶対的リーダーになりすぎてて、穂乃果が居ないところのほうが面白いことが起きる傾向があった

>矢澤にこの浪費!あれはひどいわ。キレる。希に靴投げられたシーンで、小学校時代に受けたいじめを思い出してつらくなった。あれは友達でもしていいことと悪いことがある!!(マジギレ
>矢澤にこ実際ああいういじめ受けてそうですからね
ギャグで流されてるけどアレめっちゃひどいよね

>カップリングの話に落ち着くの最高に面白い
それな……

>ほのツバもいいよ。
それな。

>にこまき顔が良いんだよな〜〜
それな。にこまきは二人揃ったときのビジュアルが最強



posted by おりあそ at 03:05| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月11日

劇場版『ラブライブ!』論争の関連リンク

【1】僕が書いた記事と、まとめたTogetter

6/23
アイドルはなぜ魅力的なのか? あるいは、劇場版『ラブライブ!』はなぜ失敗作なのか。: \(^ω^\Ξ/^ω^)/
http://oriaso.seesaa.net/article/421134088.html

6/23
劇場版『ラブライブ!』は失敗作なのか - Togetterまとめ
http://togetter.com/li/838336



【2】RT数の多かったツイート

https://twitter.com/oriaso/status/613011484893773824
https://twitter.com/taru_sake/status/613130945693028352
https://twitter.com/iso_be_yaki/status/613135879549267968
https://twitter.com/y7s6k/status/613196244584783872



【3】ツイッター等での反応のまとめ

Ceron.jp - アイドルはなぜ魅力的なのか? あるいは、劇場版『ラブライブ!』はなぜ失敗作なのか。: \(^ω^\Ξ/^ω^)/
http://ceron.jp/url/oriaso.seesaa.net/article/421134088.html

はてなブックマーク - アイドルはなぜ魅力的なのか? あるいは、劇場版『ラブライブ!』はなぜ失敗作なのか。: \(^ω^\Ξ/^ω^)/
http://b.hatena.ne.jp/entry/oriaso.seesaa.net/article/421134088.html



【4】僕の記事を取り上げていた、批評・考察・感想・まとめ記事等

☆☆☆ はネット上で反響の大きかった記事。
★★★ は僕が個人的に面白かった、または重要だと思った記事。

6/23
萌え萌え日和 : 『アイドルはなぜ魅力的なのか? あるいは、劇場版『ラブライブ!』はなぜ失敗作なのか。 』5500字でまとめた考察が話題!+『ラブライブ』の主人公はだれなのか→驚愕の答えが!
http://moecool.com/archives/34911260.html

6/23
@TyphoonTonpeeさんの伏せ字ツイート | fusetter(ふせったー)
http://fusetter.com/tw/h3ATo#all

6/23 ★★★
映画の感想は各人の自由だろうよ、という話
http://anond.hatelabo.jp/20150623210716

6/23
絶句… : ナルラトホテプ
http://blog.livedoor.jp/uma_kamishiro/archives/34968013.html

6/24 ☆☆☆
AKBヲタ(ドルヲタ兼アニヲタ)が『ラブライブ劇場版』を痛烈に批判した記事がツイッター話題に!「ストーリーはあるが物語性がない」 | やらおん!
http://yaraon-blog.com/archives/64924

6/24
【ラブライブ】くっそ長いけどかなり的を射てると思う。 : 日刊ラブライブ!
http://myurdayz.com/archives/1032187845.html

6/24
くまニュース : 「『劇場版 ラブライブ!』は失敗作」ある評論がツイッターで反響
http://blog.livedoor.jp/qmanews/archives/52133897.html

6/24 ★★★
ラブライブ!二期は果たして駄作なのか? その1 : 庭には2羽鶏が喚く
http://blog.livedoor.jp/miidaragomimusi/archives/1032212933.html
 その2 http://blog.livedoor.jp/miidaragomimusi/archives/1032627029.html
 その3 http://blog.livedoor.jp/miidaragomimusi/archives/1033494537.html
 その4 http://blog.livedoor.jp/miidaragomimusi/archives/1034600538.html
 その5 http://blog.livedoor.jp/miidaragomimusi/archives/1036621653.html

6/24
劇場版ラブライブの感想 : 信州大学文芸部楓のブログ
http://blog.livedoor.jp/nagira35-shindaipenclub/archives/44532372.html

6/24
NAMI所感 ラブライブ劇場版
http://n4m173.blog.fc2.com/blog-entry-10.html

6/24 ☆☆☆
ラブライブ!は美しいーおりあそ氏への反論@…ラブライブ二期の本当の思想
http://hiyamasovieko.hatenablog.jp/entry/2015/06/24/004202
 ラブライブ!は美しいーおりあそ氏への反論A…劇場版、最高の輝き
 http://hiyamasovieko.hatenablog.jp/entry/2015/06/29/201133

6/21(6月下旬頃追記?)
ラブライブ! The School Idol Movie | CREATIVE SEKKA
http://sekka.jp/?p=1011

6/25 ★★★
ラブライブ!映画感想 ─ 例の5500文字に対する反論と賛同、μ's解散の根拠の薄さについて - エジプト
http://sampi.hatenablog.com/entry/2015/06/25/192642

6/28
あなたがたには見えないというけれど - こづかい3万円のひび
http://d.hatena.ne.jp/tegi/20150628/1435492047

6/28
劇場版 ラブライブ! 2度目の感想:やっと理解できた ミュージカルアニメとしての凄さ - アニメとスピーカーと‥‥。
http://kato19.blogspot.jp/2015/06/lovelive-movie-2.html
 劇場版 ラブライブ! 感想 :まさか3度目にして号泣してしまうとは・・・!
 http://kato19.blogspot.jp/2015/07/lovelive-movie-03.html

6/28
【ネタバレ注意】ブログ記事「アイドルはなぜ魅力的なのか? あるいは、劇場版『ラブライブ!』はなぜ失敗作なのか。」への反論と賛辞【8887文字】 - marronkun172’s blog
http://marronkun172.hatenablog.com/entry/2015/06/28/080151
 【ネタバレ注意】アニメ「ラブライブ!」の「物語性」について考える回:
 まりさるの☆ウェーぶろぐ - ブロマガ
 http://ch.nicovideo.jp/marisarno/blomaga/ar584986

7/2
劇場版ラブライブ雑感 話題の記事への反論 - 意識の高い人を目指すブログ(仮)
http://stoaniota.hatenablog.com/entry/2015/07/02/223512
 雑感の余談 http://stoaniota.hatenablog.com/entry/2015/07/02/223713

7/2
劇場版ラブライブ!の感想 : 太陽黒点
http://blog.livedoor.jp/kuromaru_2nd/archives/44578851.html

7/3
おりあそ氏の論考を読んで思ったこと。映画「ラブライブ!」雑感|からすまゆうき|note
https://note.mu/higawari/n/n288914526756

7/3
『ネ』 劇場版ラブライブ!失敗の原因 あるいは謎の女性シンガーの正体について
http://shimesuhen.blog114.fc2.com/blog-entry-96.html

7/5
6月反省会 その2 スピリチュアルやね | へこみっぱなし2
http://depressed2.jugem.jp/?eid=110

7/9
映画ラブライブ!を見て思ったこと(ネタバレあります) - 毎日らぼ
http://rabo-chikita.hatenadiary.com/entry/2015/07/09/202814

7/29
東方の海 【ネタバレ注意】劇場版ラブライブ!の考察
http://kotohonoumi.blog.fc2.com/blog-entry-3.html

8/9
美少女アニメの登場人物はキャラクターではなく人間であるべきである (3934文字) - ゆかし あたらし ラブライブ!
http://sasakirione.hatenablog.com/entry/2015/08/09/173834

10/18
「アイドル(アイマス)」ではない「スクールアイドル」を発見する物語〜ラブライブ!The School Idol Movie〜
http://d.hatena.ne.jp/n_euler666/20151018/1445176516

12/15
2015年のアイドルアニメ
http://10rak-luck.seesaa.net/article/431196543.html

2016/02/21 ★★★
劇場版ラブライブ!批判考察
 @ http://anond.hatelabo.jp/20160221211019
 A http://anond.hatelabo.jp/20160221211517
 B http://anond.hatelabo.jp/20160221211814
(この一連の記事に対する僕のアンサーは https://twitter.com/oriaso/status/711183040458809344 からの連続ツイート)

2016/03/30 (上記エントリー筆者の増田によるさらなる批判)
アニメ『ラブライブ!』はみんなから何を奪ったのか
 @ http://anond.hatelabo.jp/20160330012910
 A http://anond.hatelabo.jp/20160330020728

2016/04/10 (上記エントリーに対する @id_kato_19 氏の反論)
ラブライブ!批判への回答:批判派の負のエネルギーを消し去りたい!
http://kato19.blogspot.jp/2016/04/lovelive-hihan.html
(この記事に対する僕の感想は https://twitter.com/oriaso/status/719662504100507648 からの連続ツイート)

2016/04/13 (増田による、上記記事に対する再反論)
絶賛派の負のエネルギーを和らげたい
 序 http://anond.hatelabo.jp/20160413013343
 @ http://anond.hatelabo.jp/20160413011057
 A http://anond.hatelabo.jp/20160413011603
 B http://anond.hatelabo.jp/20160413013038



【5】それ以外の記事からピックアップ

劇場版を絶賛してる記事はいくらでも見つかるので、批判的なものを多めに。
☆☆☆ はネット上で反響の大きかった記事。
★★★ は僕が個人的に面白かった、または重要だと思った記事。

6/13
【映】劇場版ラブライブ! The School Idol Movie 〜テンポの悪い雑なぶつ切り映画〜 - TEL's room.com
http://tel-01.hateblo.jp/entry/2015/06/13/122246

6/14 ☆☆☆
劇場版ラブライブ! 見てきたけどマジでクソ映画だった:オタクマガジン〜黒歴史の向こう側へ〜 - ブロマガ
http://ch.nicovideo.jp/hirasawa_yui/blomaga/ar811153

6/15
ラブライブ!劇場版 感想(ネタバレ多) - niko's blog【にころぐ】
http://niko-anzu.hatenablog.jp/entry/2015/06/15/035749

6/15
ラブライブ!劇場版は体験型アニメとしての集大成 - 俺は此処に居る
http://blacksun.hatenablog.com/entry/2015/06/15/230019

6/18 ★★★
「ラブライブ!The School Idol Movie」辛口レビュー – MOGAKU
https://mogaku.wordpress.com/2015/06/18/%E3%80%8C%E3%83%A9%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%96%EF%BC%81the-school-idol-movie%E3%80%8D%E8%BE%9B%E5%8F%A3%E3%83%AC%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC/

6/21
【映】劇場版ラブライブ! The School Idol Movie 2回目鑑賞!〜やっぱりつまらない映画デシタ〜 - TEL's room.com
http://tel-01.hateblo.jp/entry/2015/06/21/124717

6/27
Clap your Sunday!: 劇場版ラブライブをボロクソにけなす記事
http://burningmelodysection.blogspot.jp/2015/06/blog-post_2.html?spref=tw

6/27
劇場版ラブライブ!の画について( 'ω' n )っ
http://www.twitlonger.com/show/n_1smrqmg

7/5
ラブライブ映画で納得が行かなかった話(ネタバレしてます) - かき氷はいちご味が好き
http://hawaiipoke.blog.fc2.com/blog-entry-7.html

7/5
【感想】劇場版 ラブライブ! / 中身のない物語と、アイドルアニメ的見せ場の消失について | 超ゲームウォーカー
http://gamewalker.link/movie/lovelive-the-school-idol-movie/

7/19
【全力でネタバレ】「ラブライブ!The School Idol Movie」感想まとめ〜1年生組に救いはあるのか? - Togetterまとめ
http://togetter.com/li/848618
 【全力でネタバレ】「ラブライブ!The School Idol Movie」感想まとめ2〜
 他のアイドルアニメとの比較から - Togetterまとめ
 http://togetter.com/li/850581

7/20 ★★★
μ'sはどこに戻ってきたのか 〜『ラブライブ!』劇場版で、ふと悲しくなった〜 - あにめマブタ
http://yokoline.hatenablog.com/entry/2015/07/20/182228

2016/03/02
「批判は何も生まず、ファンにとっての大切な思い出をぶち壊す」
http://anond.hatelabo.jp/20160302162834



【6】僕が過去に書いた記事

『ラブライブ!』のアニメ第2期について書いていますが、今回の劇場版批判記事の原型です。

2014/12/31
話数単位で選ぶ、2014年TVアニメ10選: \(^ω^\Ξ/^ω^)/
http://oriaso.seesaa.net/article/411593903.html


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2015年06月23日

アイドルはなぜ魅力的なのか? あるいは、劇場版『ラブライブ!』はなぜ失敗作なのか。

劇場版『ラブライブ!』の中盤で、μ'sは重大な選択を突きつけられる。3年生の卒業をもってμ'sとしての活動を終了するのか、それともμ'sを続けるのかである。穂乃果は逡巡の末、μ'sが「スクールアイドル」だから、という理由で活動を終えることを宣言する。この瞬間から突然、今まで大して重要な意味を持たなかった「スクールアイドル」という言葉が物語のキーワードとなる。穂乃果は「スクールアイドルの未来」のために各地のスクールアイドルを招集、スクールアイドルだらけの一大フェスティバルを開催し、そこをμ'sのラストステージとするのであった。こうして劇場版『ラブライブ!』は――言い方を変えればTV版第1期以来のアニメ『ラブライブ!』は――、名も無きスクールアイドル大集合のお祭りをもってその幕を閉じた。

しかし、アニメ『ラブライブ!』のラストを飾るイベントが、このようなものであっていいはずがないのである。

問題点を明確化するために、3年前に現実世界で開催されたあるライブイベントと対比してみたい。それは「ゆび祭り 〜アイドル臨時総会〜」といって、普段はライバル同士である人気のアイドル10組が一堂に会し、次々にライブを行うというイベントであった。このイベントが話題となった最大の理由は、指原莉乃という当時AKB48で人気を急上昇させていたメンバーが自らプロデュースをしたことにある。つまり「ゆび祭り」は、μ'sが企画してライバルであるスクールアイドルを集めた、劇場版のクライマックスを飾ったあのお祭りと非常によく似たイベントだったと言えるだろう。

実は「ゆび祭り」は感動的なイベントであった。それは何故かというと、指原莉乃というアイドルの人生物語を象徴するイベントだったからである。もともと指原は故郷の大分県において、熱狂的なアイドルファンとして育った。モー娘の全盛期に小学生時代を過ごし、様々なグループのライブに通い詰める重度のアイドルオタクになったのだ。そしてアイドルへの憧れが高じて上京、自分自身がAKBのメンバーとなり、ブレイクを果たしてこのようなイベントを企画できるほどの地位に登りつめた。つまり「ゆび祭り」は、指原のアイドル愛が余すところなく表現されたイベントであり、アイドルオタクの成り上がりストーリーを体現したからこそ、感動的なイベントだったのである。

では、アニメ『ラブライブ!』のストーリーを締めくくったあのお祭りは、どのような物語性を内包していたのだろうか。筆者の考えでは、残念ながら「どのような物語性もない」のである。あのお祭りでは、「スクールアイドル」がキーワードになっていた。しかし今までの『ラブライブ!』で、「スクールアイドルはいかにあるべきか」とか「スクールアイドルの未来」とかいったことが主題になったことは一度もない。穂乃果たちは、今まで他の(A-RISE以外の)スクールアイドルのことなんかちっとも考えてこなかったのである。最後の最後になっていきなり《スクールアイドルという問題》を提示されても、あまりにも唐突だと言わざるをえない。

今回の劇場版ラブライブ!でとにかく目につくのが、このように行き当たりばったりで物語の流れを無視したストーリーである。映画の前半では、脈絡の無い強引な展開でニューヨークに行くことになるが、そこで何かを得ることはなく、後半ではまったく無関係なストーリーが始まってしまう。後半のストーリーから逆算すれば、前半では「スクールアイドル」の問題が提示されていたり、μ's活動終了への伏線が描かれていたりしなければならないはずだが、そういったことは全然なく、ライブ場所を求めて街を探検したりアメリカ人と交流したりするだけである。また、ニューヨークで迷子になった穂乃果は、彷徨っているうちに一人の女性シンガーと出会い、ホテルまで連れ帰ってもらう。この女性シンガーにはいろいろと不思議な点があり、穂乃果以外のμ'sメンバーには見えないなどの設定があるため、「未来の穂乃果」だというのがネット上では最も有力な説である。この女性シンガーは帰国後にも一度穂乃果の前に現れるのだが、それっきりストーリーからは退場し、穂乃果に思い出されることもなく、謎も一切明らかにならない。映画のキーパーソンであるかのように登場しておきながら本筋にはちっとも絡まないというこのキャラクターは、何のために出てきたのか本当に謎なのである。他にも、映画冒頭で描かれる、穂乃果が水たまりを飛び越えるという過去エピソードがこの映画のストーリーに全然そぐわないなど、とにかくこの映画の脚本はいたるところが継ぎ接ぎだらけの雑なものであり、一貫したテーマがないので物語性を感じられない。「物語性がない」と言うと、『けいおん!』なんかの例を持ち出してくる人がいるかもしれないので予め書いておくと、『けいおん!』にはストーリーはない(大したことは起きない)が、物語性はある(一貫した主題がある)。それに対して劇場版『ラブライブ!』には、ストーリーはあるが物語性がないのである。

さて、劇場版『ラブライブ!』は以上のように脚本に重大な瑕疵を抱えているにも関わらず、この劇場版が良かったという人々の多くがこのことを大した問題ではなかったと考えているようだ。ここがポイントである。もし以上で挙げたようなことがそもそも物語上の瑕疵ではないと言うのなら、それは根本的なセンスの違いだからどうしようもない。しかしそうではなく、瑕疵だとは認めつつもそのことによってこの映画の価値が損なわれないと考える人々が多くいるという、その点にこそ本質的な問題がある。なぜなら、これほど重大な物語的欠陥を目にしておきながらそれを大した問題ではないと言うのは、「アイドルアニメなんだから可愛ければそれでいいじゃん」「百合さえあればなんでもいいじゃん」という物語性軽視の態度に他ならないと考えられるからである。

『ラブライブ!』はTVアニメ第1期以来2年半のあいだ爆発的に人気を拡大し、日本の二次元コンテンツを代表する作品の一つにまでなったが、残念ながらそれと同時に、物語性をひどく軽視するファンを増やしてしまったように思う。そういった人々は、μ'sを一方的かつ即物的に消費するだけであり、μ'sのメンバーに共感したり、あるいは彼女らから何かを学んだりしようとするチャネルを持たない。そしてそういった人々の消費態度は、実際に『ラブライブ!』の作品そのものに反映されるようになってしまった。その結果がこの劇場版における脚本の崩壊だと考えられるのである。

たしかにμ'sのメンバーは二次元のキャラクターであり、実在する人物ではない。しかし、雑誌連載時代のファンは彼女らがまるで生きている人間であるかのように交流し応援してきたのではなかっただろうか。もちろん本当に生きているわけではないと知りつつも、それでも彼女らの人生を共有できると信じる真摯な姿勢、それこそがTV版第1期の物語を生み出した原動力であったと思う。劇場版の脚本では、そのような真摯さはすっかり失われてしまった。μ'sのメンバーはこれまでどのような人生を歩んできて、どういう動機でμ'sに参加し、何を考えて今まで活動してきたのか、そして今後はどうするつもりなのか。それらのことを踏まえれば、μ'sはどのような結末を迎えるのがふさわしかったのか。そういったことを真剣に考えた上で脚本を練り込んでほしかった。

アイドルは単に華やかに笑顔で歌って踊っているから魅力的なのだとか、メンバー同士仲睦まじく百合的関係性を構築しているから魅力的なのだとかいうのは、それぞれ一つのアイドル観であるし、それ自体が悪いわけではない。しかし、アニメ制作陣、つまりアイドルを生み出す側の人間までそのようなアイドル観に染まってしまってはならなかった。アイドルにはそれぞれの人生があり、物語性があるからこそ魅力的なのだ。そのことをわかってほしかったと思う。


 = = = = =


以下では、以上で書いてきたのと本質的には同じことを別の観点から論じてみたい。それは、キャラクター描写という観点である。

これは『ラブライブ!』がTV版第2期以来ずっと抱えている問題なのだが、このアニメの制作陣は、穂乃果以外のメンバー8人を脚本のレベルで真剣に描き分ける気がなくなっているのである。第2期第5話、第8話などの一部の例外を除けば、ことり、海未、花陽、凛、真姫、にこ、絵里、希の8人は、要するに「その他大勢」であって、本質的に異なる行動を取るわけではないのだ。

この問題を理解してもらうために、今度はTV版第1期最終話を思い出してほしい。この話数では、穂乃果がアイドルを辞めると言ったことでμ'sが休止に追い込まれた状況において、メンバーたちがそれぞれに異なる行動を主体的に起こしていた。たとえば、にこは凛と花陽を説得して3人でアイドル活動を継続し、花陽は穂乃果を自分たちのステージに誘い、絵里は穂乃果に導きを与えた。こういったそれぞれの行動は、それぞれの人間性をよく表している。そしてこういった行動は結果として結び付きあい、連鎖してμ'sの復活につながる。だからこそこの復活劇は感動的なストーリーなのである。

それに対して、劇場版『ラブライブ!』で穂乃果以外のメンバーがストーリーの本筋に絡む主体的な行動をすることはない。肝心のμ's活動終了問題に際しても、それぞれのメンバーがそれぞれの思考で異なる行動をとるどころか、穂乃果が結論を述べた途端、ことりの「想いはみんな一緒のはず」などというセリフで全員一緒くたにされてしまう(この同調圧力、真剣に怖いし、これが肯定的に描かれているのがもっと怖い)。第2期以来ずっと、彼女らの役目は穂乃果が下した決断に「さすが穂乃果」と言って従うことになっているのであるが、これはただのマシーンであって、人間ではない

このように8人のメンバーの主体性が奪われてきた一方で、それと反比例するかのように各メンバーの薄っぺらいキャラ付けは強化されてきた。たとえばこの劇場版において花陽が最も目立つシーンは、花陽がいつも通りにお米キチガイであるということがこれでもかというぐらいにしつこく描かれるシーンである。この劇場版において、花陽がどういう想いでアイドル活動をやっているのかとか、メンバーとのあいだにどんな新しい人間関係が生まれたのかとか、そういうことは全然描かれない。その代わりに、とにかく花陽はお米が大好きで白米が食べられないと気が狂ってしまうほどだということだけが強調されるのである。端的に言って、この映画を作った人たちは小泉花陽をバカにしているのではないかと思う。

キャラ付けにおいては現実のアイドルだってそんなもんじゃないかと思う人がいるかもしれないが、そうではない。たとえば、いつもカメラ目線を絶やさず満開の笑顔で視聴者にアピールする「まゆゆ」という優等生的キャラクターがなぜ魅力的なのか。それは、ファンがそこに渡辺麻友の野心の大きさと意志の強さ、そして完璧なアイドル像への執念を見て取るからである。スキャンダルで名を売ったり、アイドルの殻を破る破天荒な行動を取るメンバーたちが人気を集めるなかで、それでもなお自分が信じた理想のアイドル像にこだわり、それに徹しようとしている。アイドルとファンの距離がぐっと縮まった現代において、完璧なアイドルを演じ続けることの困難さ、時代遅れさを自覚しつつも、それでもなおその道を貫こうとしている。その職人気質、ストイックさ、生き方が人を惹きつけるわけである。このように、アイドルのキャラ付けは表面的にわかりやすいものであると同時に、その人の人生や信念と深く結びついたものでもあるからこそ、見る人の心を惹きつける。アイドルは人間だからこそ、魅力的なのだ

翻って劇場版『ラブライブ!』において、我々は花陽の白米キチキャラに何を見ればいいのか。あるいは、一様にニコニコとして歌い踊るμ'sの9人のその笑顔の裏に何を見られるのか。それこそが問題なのだが、今の制作陣にそのような問題意識はまるでないようで、判で押したような浅薄なキャラ付けを毎度繰り返すばかりである。もちろん、判で押したようなキャラ付けが普遍的に悪いと言っているわけではない。そういうキャラクターが適している作品だってある。しかし『ラブライブ!』は、元々はそういうキャラ付けをする作品ではなかった。それなのに作品人気が高まり、ファン層が入れ替わるにつれて、人間を描こうという当初のスタンスがすっかり失われてしまった。雑誌連載時代そして第1期の頃に比べて、μ'sメンバーの魅力がめっきり減ってしまったように感じられるのは本当に残念なことである。『ラブライブ!』を、こんな消費の仕方をするための作品にしないでほしかった。

劇場版『ラブライブ!』が素晴らしいと言っている人たちは、μ'sというアイドルに対してまるで愛玩動物か観葉植物に対するかのように接し、見かけや単純な反応、単純な関係性だけを楽しんでいる人々なのではないだろうか。それに対して僕は、μ'sのメンバーがたとえ二次元キャラクターであっても彼女らを人間として感じたいと思っているし、彼女らの人生に共感し、それを自分が生きるための糧にしたいと思っている。要するに今の『ラブライブ!』を賞賛する人々と僕とでは、アイドル観が根本的に違っているのである。


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2015年04月05日

『ユリ熊嵐』最終話を終えて/幾原邦彦作品の物語的特徴について

ユリ熊嵐、1周しか見ていないしよくわかっていない部分がたくさんあるのだけど、とりあえずの感想としては「あまりにも幾原邦彦」だと感じた。ウテナやピンドラでも随所に顔をのぞかせていた幾原的世界観・倫理観が、今までで最も明快にわかりやすく表現された作品だったのではないかと思う。
以下、幾原作品の特徴として挙げられそうなことをいくつか書き出してみた。
ウテナ・ピンドラ・ユリ熊嵐のネタバレを含みます。


・制度化された絆に対して批判的であり、むしろそれに抗う個人的な絆が称賛される。
家族よりも擬似家族が、異性愛よりも同性愛が、所有関係よりも対等な友達関係が、クラスの団結よりも集団の掟で禁じられた交流が、肯定的に描かれる。個人的にはこの点こそ、幾原作品の物語を幾原作品たらしめている最も重要な点ではないかと思う。
「だから、本当の友達になりたかった。あの壁を越えて」

・愛は見つけ出すもの(手に入れるもの)である。
制度化されていない絆、すなわち真実の愛を見つけ出さなければならない。
「その透明な嵐に混じらず、見つけ出すんだ」

・生存のために必要なものが愛である。
人間は愛を与えられないと「透明な存在」になってしまう。それゆえ、ピングドラムを探すことが生存戦略になる。
「きっと何者にもなれないお前たちに告げる。ピングドラムを手に入れるのだ」
「スキを諦めなければ、何かを失っても透明にはならない」

・愛とは、分け与えるものであり、究極的には自己犠牲である。
リンゴに象徴されるピングドラムは有限であり、与えるためには自らのそれを分けなければいけない。何かを変えることができるのは自己犠牲だけであり、これに関しては、百万本の剣に刺されたウテナ、運命の呪文を唱えて蠍の炎に包まれた苹果、その炎を引き受けた晶馬、火の中に飛び込んだ銀子、身代わりになったるる、自分を熊にしてしまった紅羽など、枚挙にいとまがない。ただ、ワンパターンすぎて幾原作品を貧困にしている部分であるような気もする。
「僕の愛も、君の罰も、すべて分けあうんだ」

・死はネガティブなものではない。
「つまり、リンゴは愛による死を自ら選択した者へのご褒美でもあるんだよ」
「でも、死んだら全部おしまいじゃん」
「おしまいじゃないよ! むしろ、そこから始まるって賢治は言いたいんだ」

・本当に重要なのは「実際に何が起きたか」ではなく、「その人がそれをどう見たか」ということである。
最後にウテナがどうなったのか、銀子と紅羽がどうなったのかということは、はっきり描かれないし、よくわからない。しかもそこに、人によって違ったものを見ているようなのである。ウテナの行方について学園の生徒たちはバラバラなことを言うし、暁生はウテナによる革命は失敗したのだと思っていたが、アンシーに言わせればそれは、何が起こったのかわかっていないのである。蝶子ら学園の生徒は、銀子と紅羽を撃って悪の排除に成功したと思っていたが、そのとき撃子にはクマリア様に導かれ新たな世界に旅立つ二人が見えていた。どちらが真実だったのかはわからないが、アンシーや撃子が見たものが彼女らに決断を促すことになる。

・結局、世界そのものは変えられないから、自分が旅立つしかない。
学園を出るしかない。

・世相に敏感である(ような気がする)
ピングドラムは、地下鉄サリン事件を知らない世代の子供たちが増えてきたことを感じて作られたように思えるし、ユリ熊嵐は、この国全体で同調圧力と異文化排除の動きが高まってきていることを問題視して作られたような気がする。

・子供たちの目線に寄り添っている。
親による愛を与えられなかった(失ってしまった)子供たちに贈られたピングドラムと、いじめという教室の現実に直面する子供たちに贈られたユリ熊嵐。特にユリ熊嵐において、いじめ問題に対する意識は画面の隅々にまで行き渡っていて、教室を描くシーンは(一見普通のシーンのように見えても)常に緊張感が走っている。いじめに直面している子供が見ていたら、(大人にはわからなくても)これが何の問題を扱ったアニメであるか早い段階で直感できたんじゃないかと思う。是非とも子供たちに届いて欲しい作品である。

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2014年12月31日

2014年TVアニメOP・ED3選

こちらも年末恒例。
「新米小僧の見習日記」さん(http://shinmai.seesaa.net/)がまとめを作ってくださっています。

10選にしたいところでしたが、今年もあまり多くのアニメを見ることができなかったので、そのなかから特にお気に入りのものとして3つずつ選びました。

ネタバレは回避してないのでそこはご注意ください。



【OP】

selector infected WIXOSS / killy killy JOKER
 異常に不吉な、怖いOP。こんなOPを見せられたら、真っ当なカードゲームもので終わるはずがないことはわかる。音楽のリズムにきっちりハマった映像が気持ち良い。


凪のあすから(後期) / ebb and flow
 14話で初めてこのOPが流れたときは緊張した。雪景色に始まり、5年前からの変化を強く意識させるOP。5年前と現在の教室を対比するカットも寂しい。キャラクターはみんな伏目がちで視線をそらしてばかりだったりして、人間関係のうまくいってなさを想起させる。真ん中辺りでは、第2クールの主人公を務める(と言ってもいいよね……?)美海の視点でセリフが入ったりするなど、なかなか特色あるOP。


ソードアート・オンラインU(マザーズ・ロザリオ編 19話以降ver.) / courage
 ギルド浪漫、とでもいうべきものを余すことなく表現し尽くしたOP。MMORPGらしいアクションもいいし、カッコいい剣豪ユウキもいいが、なんといっても二度目のサビが素晴らしい。HPゲージを使った演出や、大きく書かれる“Sleeping Knights”の文字には深い感動がある。



【ED】

ヤマノススメ セカンドシーズン(前期) / Tinkling Smile
 『ヤマノススメ』ってほんと、仲良し4人組のアニメと見せかけてメイン2人の百合アニメなんだよなぁ。このEDはそのことに正直でよろしい。イチャイチャしやがって!(歓喜)
 澄み切った空の青色が気持ちいいし、映像のリズム感もいい。『変猫』の「Baby Sweet Berry Love」(←2013年ED10選で大人気だった)といい、『妹ちょ』の「Charming Do!」といい、小倉唯のED曲は記憶に残りやすい……。


Wake Up, Girls! / 言の葉 青葉
 映像は、作品の舞台である仙台市内の風景を実写で映すだけ。楽曲「言の葉 青葉」は、震災を意識した歌詞で、まるで合唱曲のようなバラード。これらをアイドルアニメのエンディングに持ってくる大胆な決断は、アイドルファンであるヤマカンだからこそできたのではないかと推測したくなる。簡素だがどんなEDよりも美しく、涙なしには見られない。


ソードアート・オンラインU(マザーズ・ロザリオ編) / シルシ
 アスナが手に持ったスマートフォンのような機械には、たくさんの動画が入っているようだ。イヤホンをしたアスナが、その動画を再生するところからこのエンディングは始まる。動画の内容は、アスナがユウキと過ごした最後の3ヶ月間に残した記録の数々であった。これらの思い出に浸るアスナは、ED曲「シルシ」が「じっと見つめたキミの瞳に映ったボクが生きたシルシ」と歌いあげるサビで泣き顔になり、そのあと涙を拭って笑顔を見せる(ユウキの一人称は「ボク」であった)。最後はアルヴヘイム・オンライン内で、アスナがユウキと出会いユウキの死を看取った場所である24層の小島で大樹を見上げて終わる。
 このEDは、もちろんアスナとユウキの強い絆を描いたものであるが、同時に、インターネットがますます発展するこれからの時代に「思い出」とか「生きた証」といったものがどのような形をとるかを表現したものでもある。現代のMMOをプレイしている人々にとっては、すでに「思い出」というものはチャットログや、スクリーンショットや、プレイ動画の形をとっている。VRMMOをプレイしているアスナとユウキの場合、それは動画の形をとることができるだろう。いずれにせよ、それらはアルバムではなく、むしろスマートフォンのなかに収められるものである。そこに現実世界の結城明日奈と紺野木綿季が映ったツーショットはない。けれども、アスナがスマートフォンで見聞きしていたものは、アスナにとってユウキとのかけがえのない思い出であり、ユウキにとっての「生きたシルシ」なのである。



posted by おりあそ at 23:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

話数単位で選ぶ、2014年TVアニメ10選


年末恒例のイベントです。
「新米小僧の見習日記」さん(http://shinmai.seesaa.net/)がまとめを作ってくださっています。


ルール
・2014年1月1日〜12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・順位は付けない。



ネタバレは回避してないのでそこはご注意ください。
お気に入り度の高いものほどなんとなく下のほうに置いています。



Fate/stay night [Unlimited Blade Works] #12 「最後の選択」
 『Fate』という作品名を聞くとどうしても、聖杯戦争とか、マスターとサーヴァントの契約とか、英霊同士のバトルとか、そういうことに目が行きがちなんだけど、それだけじゃない。『Fate』は「萌えアニメ」としても一流だということを示したのがこの回。バッティングセンターでバットを振るうセイバー、デートと称して士郎をからかう凛、めちゃくちゃ可愛いではないか。そんじょそこらの萌えアニメで、キャラクターをこんなに可愛く描くことができているだろうか。


Free! -Eternal Summer- 10Fr 「涙のシックスビート!」
 『Free!』の2期は残念ながら、部活ものの超名作であった1期には遠く及ばなかったような気がする。特に問題だったのが、主人公サイドである岩鳶高校のストーリーが物語性を欠いていることで、なんだか淡々と大会をこなし淡々と勝ち進んでしまった印象がある。試合は多く描かれているのだけど、一つひとつに意味がないのだ。遙の進路というテーマはあったものの、遙が何に悩んでいるのか僕にはまったく理解できず、やはり2期は蛇足だったなぁというのが正直な感想である。
 しかし、岩鳶高校の物語が振るわない代わりに、鮫柄学園側は新キャラの投入でなかなかに盛り上げてくれた。特に第10話の地方大会でのリレーは、宗介の事情が明らかになったことで8人全員にとって意味ある対決となっていて良かったと思う。


桜Trick Trick6 「文化祭だよ☆お泊まりです」「文化祭だよ☆本番です!」
 『桜Trick』の目玉はキスシーン。ということで最もお気に入りのキスシーンがあった回を選んでみた。第6話Bパートの、文化祭のバンド演奏を聞きながら、体育館の2階ギャラリーでカーテンを引いてするキス。シチュエーションがいいし、演奏や照明がキスの演出になっているのが見事。


ラブライブ! 2期 第5話 「新しいわたし」
 この回を選ぶのにはちょっと躊躇いもある。というのは、僕はこれがあんまり倫理的に良い話だとは思っていないからだ。一般論として、「女の子は可愛くならなければ」っていう強迫観念を植え付けるべきではないし、アイドルだって「可愛さ」じゃない他のいろんな魅力を追求していいのだ(これは『ラブライブ!』全体の問題でもあると思う。アニメ版でμ'sが踊る楽曲や衣装は「可愛さ」を目指したものに偏りすぎていないだろうか。たとえば「かっこいい」μ'sもあっていいはずだ)。
 しかしそれでもこの回を選ぶのは、この回が2期では珍しくμ's内の人間関係の起伏がちゃんと描かれていた回だったからであり、アイドルものなのにグループ外との人間関係がまともに描かれない『ラブライブ!』という作品において、グループ内人間関係のリアリティこそ欠かしてはならない重要な要素だと考えるからだ。
 原案の公野櫻子が述べていたように、もともと『ラブライブ!』は「女の子のリアルな関係性とか立ち位置」(『電撃ラブライブ! 3学期』p.42)を強く意識した作品であった。実際、アニメ版1期はそのような作りになっていたと思う。たとえば、メンバー7人時代のμ'sにおいて、2年生3人はまとまって行動することが多く、唯一の3年生であるにこは1年生たちと絡んでいることが多い。そして前者のグループと後者のグループのあいだには少し溝がある。中学高校の部活で実際にありがちな構図の一つに収まっているのである。そういった人間関係の意外なリアリティが描かれていたからこそ、ファンはメンバー間の関係性を洞察することに熱心になった。「にこまき」や「ほのえり」といった百合カップリングは、そういった洞察からファンが想像を広げたことで生まれたものであり、だからこそリアリティと説得力のあるカップリングになっているのである。
 しかし、話が進むにつれμ'sのメンバーはみな等しく仲良しになってしまい(険悪になる話はなかなか描けないから仕方ないこととも言えるが)、2期のμ'sの人間関係は見事に平坦になっている。そこに残ったのは、絶対的リーダーとしての穂乃果と、他8人のメンバーという、たったそれだけの構図である。穂乃果が何かすごそうなことを言い、他8人が一様にそれに感動する、というパターンの話が2期には非常に多い。こうなってしまったμ'sには、人間関係のリアリティも、百合カップリングを見出す楽しみもあったものではない。
 2期で唯一の希望が見出だせるのは第5話である。2年生3人が修学旅行でいなくなったことで、構図に変化が生まれた。さらに、絶対的リーダーであった穂乃果がいなくなったその空白の中心に「他8人」の一人だった凛を無理やり押し込んだことで、平坦だった人間関係にひずみが生まれた。凛がにこと真姫の喧嘩の板挟みになったり、花陽が凛を助けようとして穂乃果に相談を求めたりと、他のエピソードでは見られない、リアリティのある関係性が垣間見えていた。これはつまり、メンバーの配置を変えることで、普段は水面下に隠れている人間関係が露わになるということだ。これは今後『ラブライブ!』の物語をつくるうえで、ぜひ参考にしてほしい教訓である。現実のアイドルを見てもわかるように、ファンはメンバー間の関係性を読み取ることに喜びを見出すのだから。


ヤマノススメ セカンドシーズン 新十合目 「富士山って、甘くない…」
 『ヤマノススメ』はど安定のゆるふわアウトドアアニメ。基本的にストーリーはあってなきがごとしだが、それだけに富士山編であおいに容赦なく挫折を経験させた展開にはちょっと驚いた。登山に苦痛しか感じなくなり、星空を見ても感動せず、山を登りに来たことを後悔するあおいの心情をしっかり描いており、「なぜ山に登るのか」という問いと向き合うストーリーにつなげたのは素晴らしかった。


ログ・ホライズン 第2シリーズ 第5話 「クリスマス・イブ」
 主君と離ればなれになり孤独のなかで自らの存在価値を求めもがくアカツキさんが、クリスマス・イブの夜に現れた連続殺人鬼と路地裏で邂逅し対決するエピソード。何が良いのかというと、とにかく今説明した各要素の組合せが素晴らしく、独特の雰囲気があるということに尽きる。力及ばずアカツキさんが倒れるラストまで含めて、アカツキさんの苦悩と苦闘を象徴する一話であった。


悪魔のリドル 第二問 「胸の中にいるのは?」
 黒組のバトルロワイアルが開幕するのとともに、兎角さんが晴ちゃんの側に寝返ることを決意したエピソード。緊張感があってバトルロワイアルものの導入として申し分なく、守護者と守られる者という珍しいタイプの百合による魅力を本作品に予感させた。だが、残念ながら『悪魔のリドル』の面白さはここがピークであり、これ以降の本作品はここで提示した方向性に対して奇妙な逆走(守護者が守られる者に守られる、自称暗殺者たちによるなんちゃってデス・ゲーム)を始めてしまうのであった。


以下が今年のベスト3。

凪のあすから 第十五話 「笑顔の守り人」
 5年ぶりに目を覚ましたが、変わってしまった世界と人々に愕然として目を閉ざす光の話。光の戸惑いが氷解するラストの疾走に、美海が旗を振るシーンが最高に気持ち良い。美海がカンチョーをくらう場面がなかったことだけが残念である。


SHIROBAKO #12 「えくそだす・クリスマス」
 今年一番の、自信を持ってオススメできるアニメがこの『SHIROBAKO』である。最初から最後まですべてのエピソードがとにかく面白いので、アニメ制作というテーマに少しでも興味がある人だったら誰が見ても損はないはず。この回は完璧な最終話だと心の底から感心していたのだけど、実は2クール作品で1クール目の終わりだった。贅沢すぎる。


そして今年のベストエピソード。

ソードアート・オンラインU #24 「マザーズ・ロザリオ」
 『ソードアート・オンラインU』のマザーズ・ロザリオ編は、僕にとって特別な作品といえるものだった。SAOがはじめてネトゲの魅力を描き、ネトゲプレイヤーの価値を描き、そしてネトゲだからできることを描いた作品だと思う。マザーズ・ロザリオ編のエピソードはどれも甲乙つけがたいが、ネトゲのなかで現実の人の死を看取るなどとという、きっと多くのまともな人間からは馬鹿げていると思われるようなことを、真剣に本気で描いた最終話に敬意を表して、今年のベストエピソードに選びたい。



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2014年04月23日

『絶対少女聖域アムネシアン』のどこがすごいか

『神無月の巫女』の続編的な位置づけにあたる、介錯先生の漫画『絶対少女聖域アムネシアン』はすごい作品。

特にどこがすごいかって言うと、全4巻にわたって異能力が入り乱れる血生臭い戦いが続いた末の最終決戦の結末が、姫子が突然自分の服を破いておっぱいを出し、それを見た千歌音ちゃんが動揺した隙を突いて姫子が勝利するっていう終わり方なのが本当にすごい。

あの百合作品の金字塔である感動傑作『神無月の巫女』の続きを描いていると思われる作品で、姫子と千歌音の壮絶な宿命に関わる最終決戦が、「とりあえずおっぱい出せば万事解決!!!」というバカエロギャグ漫画の論理に突然回収されて幕を閉じるの、やっぱすごいとしか言いようがない。

アニメ版『神無月の巫女』終盤の姫子と千歌音の決闘の決着では、伏線だったアイテムを綺麗に使った、予想の上を行く、衝撃的な、号泣不可避の見事な結末が描かれていただけに、そこからあまりにも遠く隔たった『アムネシアン』のこの結末はなおさら印象的である。どちらも予想外だというところしか共通していない。




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2013年12月31日

2013年TVアニメED5選


「2013年TVアニメOP・ED10選」というものがあるみたいなので、やってみよう……と思ったけど見たアニメが少なすぎて10作も選べなかったので、5作だけ選んでみました。しかもEDだけ。

こちらの「新米小僧の見習日記」様にまとめがあります。



ログ・ホライズン / Your song*
ほっとする癒しのED。なにげに画面のリズム感がすごく良い。アカツキさんが主役で、記録の地平線のギルドメンバーだけが出てくるのですが、アットホームな雰囲気になごむ。


ファンタジスタドール / DAY by DAY
うずめのハーレム感と主人公感。連続キス良かった。


機巧少女は傷つかない / 回レ!雪月花
秋期の大人気ED。僕も大好きです。


戦姫絶唱シンフォギアG / Next Destination
二期目のシンフォギアの物語に圧倒的不吉さを予感させ、緊張感を与え続けた存在感のあるEDでした。一期目のEDのように直接的にダークだったりグロかったりするわけではなく、むしろ絵柄的には清涼感さえあります。しかし、ひびみくをバックに「背中あわせ 違う雲を見てる でも同じ空の下にいるよ 忘れない」や、離れて歩く響クリス翼の主役3人にあわせて「さよならという言葉はきっと 終わり告げるためじゃない 次のページ開くため 必要なパスワード」などといった、シルエットの映像と歌詞の連関が実に不吉。実際これらのテーマは作中で描かれることになります。それになんといっても、ラストの強烈な引きからこのEDのイントロに入る部分が毎回ものすごく良かった。


AKB0048 next stage / この涙を君に捧ぐ
万感胸に迫る至高のエンディングだと言いたい。
「この涙を君に捧ぐ」は、数百曲あるAKBの曲の中でも稀に見る名曲で、ファンのあいだでは神曲との呼び声が高い伝説の一曲となっています。NO NAMEのメンバーたちもこの曲に対する思い入れの深さをよく語っており、この曲を聴くだけで泣いてしまうと書いたメンバーもいました。
第1期もそうだったのですが、0048のEDはセンスが良いですよね。星々の世界を背景に、点滅するライト、回り続けるオブジェクト、佇む9人のシルエット。第1期のEDは廃墟から何度でも蘇るアイドルというものの普遍性を描いていたわけですが、この第2期EDではさらにスケールが大きくなっています。また9人の個人的な関係性も目が向けられており、0048のテーマを余すところなく表現したEDだったといえるでしょう。


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話数単位で選ぶ、2013年TVアニメ10選


これを書かないと年越しできない。「話数単位で選ぶ、2013年TVアニメ10選」を今年もやってみます。

こちらの「新米小僧の見習日記」様にまとめがあります。

ルール
・2013年1月1日〜12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・順位は付けない。


一応順位は付けないのですが、僕はなんとなく個人的評価が高いものほど下のほうに置いています。

実はアニメ視聴本数が2〜3年前に比べ激減しており、今年は最初から最後まで見たTVアニメが10本しかありません。なので、それら全作品から1話ずつ選ぶ形になっています。



Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 第6話 「空白、夜の終わり」
スピンオフ作品であることを最大限に活かした戦闘シーンが見応えありました。黒セイバーとイリヤの対決は、ちゃんと意味を説明しようとするとそれなりに台詞が必要になる戦闘だったと思うのですが、そうやって細々と理屈を説明するのではなく(というか登場人物たちも何が起こっているのかわかっていないのでそもそも出来ない)、『Fate』の知識を前提にした画面で理解させています。「この心象風景、この衣装、アーチャーを同化させたんだな」とか、「エクスカリバーを複製したんだな」とか、視聴者が理解できることを前提にして説明を省いているのでテンポが良い。盾、カラドボルグ、そして双剣でのアクションなど、アーチャーらしい動きも見事でした。


ログ・ホライズン 第10話 「その手につかみとれ」
ギルドの結成とか、ギルドマスターであるということとか、そういう話をされると僕としてはそれだけで涙腺に来るものがあるのです。異様なテンションのカレー回でもありました。


ハイスクールD×D NEW 第8話 『授業参観、はじまります!』
この作品は保護者世代の存在がすごく面白い。高校の授業参観なのに何故か授業は粘土作りだったり、親たちがビデオ撮ってたり、メインキャラクターたちが年のわりに子供扱いされていて笑う。リアスの父兄がイッセーの家に訪れて、イッセーの両親と酒盛りで親バカトークを始め、普段は母性とリーダーシップに溢れるリアス部長も恥ずかしがって逃亡してしまったり。あとレヴィアタンさまのキャラクター像も実にB級アニメらしくてよろしい。でも初登場前からすでにアイキャッチで乳首丸出しっていうのはひどいと思うの。


ラブライブ! 第13話 「μ's ミュージックスタート!」
ネットでは不評も買った終盤の展開ですが、僕は非常に良かったと思っています。ラブライブ出場中止、学校の存続決定、ことりちゃんの留学と、μ'sを続ける理由をあらかた失って、それでも残るものは何なのか。基本的に穂乃果にリードされてきたμ'sのメンバーたちが、ここに来て逆に穂乃果に重要な影響を与えていく構図なのが面白いです。カッコイイにこにーも見れます。
Aパートの穂乃果の喪失感の表現がすごく好きです。START:DASH!!のライブも素晴らしかったですね。


進撃の巨人 第22話 「敗者達〜第57回壁外調査E〜」
第1話から最終回まで、安定して非常にレベルが高く、どの1話を選んだものか悩まされる作品です。ただそんな中でも、この回のオリジナルエピソードはやはり印象的でした。誰より仲間思いで情に厚いのに、感情を徹底的に排除して冷酷かつ合理的に行動しているリヴァイ兵長の姿がよく浮かび上がってくるエピソードです。ハリポタのスネイプに次ぐくらいにかっこいい人ですね。


凪のあすから 第十一話 「変わりゆくとき」
陸の人々の協力で、おふねひきに向けての準備が加速し始めるあたり。見どころはたくさんありますが、美海がわざとあかちゃんを怒らせて冬眠してもらおうとする場面は涙なしには見られない。一方、あかりは美海の言動を理解していて、ひとつの決心をする。
そしてまた、こういったサブキャラたちのために奔走する主役たちの姿が胸を打つのがこの作品。この回の光の言葉も一つ一つに重みがありますよね。


AKB0048 next stage Stage 24 「扉の向こう側」
「☆の向こう側」という曲は、AKBファンのあいだで注目されることは今まであまりありませんでした。数百曲もあるAKBの音楽の中で、特に目立つこともなく埋もれていた曲のひとつです(2013年1月のAKBリクアワでは161位でランク外でした)。『AKB0048』の第24話は、そんな「☆の向こう側」を名曲として蘇らせた回だったといえます。このエピソードを見た後となっては、もう「☆の向こう側」が神曲としか思えない。キーアイテムである天体望遠鏡を軸に、「☆の向こう側」の歌詞を智恵理と父親の近くて遠い関係に再解釈し、切ない物語に仕立てあげた脚本もさることながら、扉一枚隔てた父娘の邂逅をドラマチックに描く演出、そして声優・渡辺麻友がありったけの感情を込めて歌い上げる「☆の向こう側」、すべてが秀逸の出来です。


Free! 8Fr 「逆襲のメドレー!」
部活ものの超名作。個人戦の全員敗退を経て、メドレーに賭けるお話。水泳部の仲間たちの泳ぎや伝言メッセージによって、普段無感情に見える遙の感情が揺さぶられていく過程が素晴らしい。そしてメドレーを凛視点で描いたのがまた良かった。怜のまだ上手くはない泳ぎを見て凛の嫉妬的な感情が自覚されていくのも、よく出来たストーリーだなぁと思わされる。


きんいろモザイク 第1話 『ふしぎの国の』
『きんいろモザイク』が他の萌え4コマ原作空気系アニメとは異なる印象を残したのは、やはりこの第1話があったからこそ。初めてイギリスに行く忍にとって、そこの景色は何もかも新鮮なものばかり。現地でのロケハンを踏まえた緻密な描写によって、そんな驚きの数々が視聴者にも伝わってくるよう豊かに描かれています。そして日本語しか話せない忍と、英語しか話せないアリスの心温まる交流が素晴らしい。帰国する忍をアリスが見送るあの名シーンは伝説。原作には存在しないエピソードで第1話を作ると決め、これだけのものを作り上げたスタッフさんに拍手。僕がイギリスに行く直前の放送だったこともあって、個人的な思い入れもあります。


そして今年のベストエピソード。

戦姫絶唱シンフォギアG EPISODE 10 「喪失までのカウントダウン」
ひびみくの物語の集大成。『シンフォギア』にしか生み出せない感動がここにあります。船上での対話の静けさ、バトルの熱さ、「思いつきを数字で語れるものかよッ!!」などの名台詞の目白押し。全ては2分40秒の「RAINBOW FLOWER」の決闘に結実します。現代声優界最高の逸材(たぶん)である悠木碧が演じるところの立花響の叫びが、決意が、歌が、見る者の心を震わせてやまない。決闘系百合アニメ(僕が命名した)の歴史を大きく更新した瞬間だと言えるでしょう。

なお、「なぜ立花響は『笑顔のサヨナラだ』を歌わなかったのか」というようなタイトルで長文のひびみく語りを書こうと思っているところです。しかしいつになれば書けることやら。


posted by おりあそ at 18:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする