2013年11月03日

母性vs愛vs正義 まどか『叛逆の物語』感想メモ


昨日ようやく『叛逆の物語』を観てきました。以下、とりあえずの感想メモです。
ネタバレも入っています。




● 『叛逆の物語』のサービス精神

『叛逆の物語』のシナリオを、純粋に物語としての出来具合だけで評価するのも結構ですが、僕は初めに、この映画が娯楽作品として、幅広いニーズにほぼ完璧に応えていることを大いに評価したいです。

まず、TVシリーズの終わり方からして続編を作ることだけでも困難であっただろうに、ほぼ全ての登場人物にしっかり出番や見せ場を作っています。特に、TVシリーズで不遇な扱いを受けたマミさんやさやかちゃんの活躍は、彼女らのファンが一度見てみたかったものでしょう。

そして映画の前半部分には、5人が協力しての戦闘とか、杏さやのキャッキャウフフとか、全員分の変身シーンとか、ファンが見たかったであろう、でもTVシリーズでは決してあり得なかった、いろんなシーンがたくさん詰まっています。

ファンが見たいものをしっかり理解して、それを限られた尺と物語な条件の中で存分に披露してくれました。このサービス精神はすごい。あらゆるファン層のことを考えて、最善のものを作ってくれたのだという気がします。




● 物語のルールを順守する『まどか』

そして、TVシリーズにも今回の劇場版にも言えることですが、『まどか』という作品には、なんというか“反則”的なものがありません。

たとえば、よく比較される『エヴァ』には、世界観の説明をかなぐり捨てたり、観客を映してみせたりという、なんだか“反則”的なものがよく見られます。『ウテナ』や『ピングドラム』の世界はあまりにも不条理な現象で満ち溢れていて、何が起きているのかはっきり分かることは殆どありません。

それらに比べると、『まどか』の物語は理屈が難解でありながら、設定に沿ってしっかり辻褄が合っており、それが作品内でほぼ説明されきっています。


こうして見ると『叛逆の物語』は、けっこうキツい条件を自らに課しているように思えます。豊富で多様なサービスを用意し、物語の理屈もきっちり通す。その上でなお、これほど惹き込まれる謎解きのシナリオと、予想を裏切る驚きの展開を作ったのは、それだけで本当にすごいと思っています。




● 何より映像が素晴らしい

語彙が貧弱で申し訳ないのですが、TVシリーズに続き今回の劇場版も映像的な驚きだらけでした。見たことのない、訳の分からない魅力的な世界が、2時間に渡って次々と出現し続けるのです。『まどか』の世界がまだこんなに斬新に生まれ変われるのか、と感じました。この映画を10回以上リピートしてるような人々を、特別に奇異には感じません。それぐらい何度でも見たくなる映像だと思います。

OPとEDもかなり印象的でしたね。特にOPの、ほむらだけが座り込み、他の4人が周りで踊るとこ、衝撃的でした。




● 感情の揺さぶりはあまり強くないかもしれない

もしかしたら低評価の原因になるかもなぁと思ったのは、観る側の感情を強く揺さぶるシーンは意外と少なかったところです。謎解き的な要素や、状況や理屈の説明で忙しかったこともあってか、登場人物の心情を丁寧に描く部分もそれほどありませんでした。ほむらや杏子の心情にはもっと寄り添ってもよかったのでは、という気はしないでもないです。

とはいえ、必要以上に感情移入を迫らないのは『まどか』の良いところなのかもしれません。『コードギアス』や『進撃の巨人』のように、主人公の激情を描きまくる作品だと自動的に感情移入してしまって心が揺さぶられるわけですが、それだけが良いアニメのあり方ではないはず。登場人物たちを少し離れて観察して、その言動の微細に感情を読み取り心を打たれる、『まどか』はそういう楽しみ方に適した作品だと思います。




● 『叛逆の物語』は、ほんの序章に過ぎない?

今回の劇場版『叛逆の物語』は、本当に重要な物語のほんの始まりに過ぎないという印象を受けました。というのも、『叛逆の物語』を終えて、主役3者の相容れない価値観とその対立の構図がはっきり示されたように思われるからです。

母性と秩序の神「まどか」と、
愛と欲望の悪魔「ほむら」と、
功利主義的な正義を執行する「キュゥべえ」。

TVシリーズのストーリーでも、まどかとほむらの価値観は異なっていて、それが切ないすれ違いの物語を構成していたわけですが、今回のほむらの「叛逆」によって、その相違が明確な対立になりました。

『叛逆の物語』ではほむらが暫定的な勝利を収め、まどかとキュゥべぇはその支配下に置かれたようです。しかし、まどかは円環の理を思い出しかけていますし、このままでは終わりそうにありません。ボロボロになったキュゥべぇの瞳が映るラストシーンは、今後のキュゥべぇによる逆襲を予期させます。

次の作品では、この三つ巴を中心に、さやかなど他のキャラクターを含め、世界の在り方を賭けた戦いが展開されるのではないでしょうか(推測)。



何より、終盤のあの渡り廊下のシーン、ほむらがまどかに、いずれ貴女の敵になるかもしれないと言っていたのが印象的でした。

愛する者と、愛のために戦う物語が、きっと始まるのでしょう。


posted by おりあそ at 06:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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